
前回、原子力災害対策本部への問い合わせた内容を書いた。
今度は文部科学省がHPで公開している資料を見てみる。
■文部科学省 東日本大震災関連情報 ・放射能を正しく理解するために
[PDF]という資料に次のようなことが書いてある。
P6 国際放射線防護委員会(ICRP)は、3/21に「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆に
おける参考レベルとして、1~20mSv/年の範囲で考えることも可能」とする声明を出しています。
だから、1年間で蓄積される放射線量が20mSvを超えないようにした。
P8 3.8μSv/hは、1年間の積算で20mSvになる。
この値では、普通に生活して支障はありません。
P11 「発がん」の確率は、弱い放射線の場合、積算100mSvで約0.5%程度上昇する
最後の一文は、
「年あたりの被曝量では無い」ことに注意が必要だ。
とにかく何年でもいいから積算して100mSvを超えるとこうなる、ということだ。
ICRP自体、あるいはこの数値自体にも疑問はあるのだが、とりあえず今はそれは置いておく。
上記を総合すると、文部科学省は次のように言っていることになる。
被曝の影響は、影響が積算していくLNT仮説で考えています。
ICRPが20mSv/年でもいいと言ったので、そうしました。
積算して 100mSv になると、約0.5%の人がガンになります。ということだ。
ここでの極めて大きな文部科学省の
偽善は、
20mSv/年 ×5年という計算は、国民には教えません。ということだ。
被曝の確率的な影響は積算すると明記するが、1年以上の積算は決して計算して出さない。
ウソは書かないが、
まずいことは極力わかりにくくしておく。後で責任問題になると困るので、「普通に考えたら当然わかるでしょ」という程度には書いておく。
あとは自分で掛け算して、裏を読み取ってね。ということなのだ。
前回書いた、原子力災害対策本部として返答した事務局のシンドウさんが言っていた
被曝の影響は積算しない
というのは、同じ政府内部で
矛盾している。
まあ、シンドウさんがよくわかっていなかったのだろうが、判断を行っている方の原子力災害対策本部としての回答の方が、科学的に嘘八百だというのは話にならない。
文部科学省はそれに気づいて、自らの保身のためにこのような資料を作ったのかもしれない。
いかにもあからさまなアリバイ工作ではあるが。
ともあれ、ツッコミ所はまた増えた。
すでに多量の放射性物質を放出した3/15からは一ヶ月以上が経っている。
ヨウ素133の半減期は8日。
約一ヶ月あれば、ヨウ素133の放射線量は1/10以下に減少する。
ということは、
現在観測されているのは、殆どがセシウム137等からの放射線である。
セシウム137は半減期が30年なので、少なくともここ数年は放射線量は殆ど減少しない。
実際に福島他、各地の放射線測定値は、横ばいから微減程度である。
さらには、原発からの放射性物質の放出は、今日も尚継続中であり、放射線量が増える要素こそあるが、減る要素はまったくない。
つまり
20mSv/年 ×5年 = 100 mSv 被曝して健康に被害が出るというのは、
残念ながらほぼ確実な未来なのである。
文部科学省は、暗にそう言っている。
もしかしたら、国民にそれに気づいて欲しいのではないか?
そんなヘタレに、この国を、子供達の教育を、任せた記憶はないのではあるが。

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